第18回 研究大会
【最終更新日:2018年2月9日】
1.大会趣旨
近年、日本においては、急激な少子・高齢社会の進展に伴い、持続可能でかつ切れ目のない包括的な社会保障・社会福祉制度が必要とされており、地域における医療・介護の連携から始まった地域包括ケアシステムの構築が、全国的に進められてきました。さらに、2017年5月には、国から提供されるデータ分析を基にした介護保険事業計画の策定、都道府県による医療・介護連携情報の市町村への情報提供規定の制度化、各分野計画の上位に位置づける地域福祉計画策定の努力義務化等をも含んだいわゆる地域包括ケアシステム強化法が成立しています。
こうした政策的な流れから、地域を基盤とし、多様な組織が連携した福祉サービスの提供の促進が強化されており、その中で福祉情報は、益々重要視されていると考えられます。一方で、実践が具体的に展開される現場では、ワンストップの総合窓口を設けても、その後の情報の共有化が必ずしも進んでいない実態や、分野ごとに多数存立するネットワークへの戸惑い、さらには地域包括ケアを担う専門職確保の困難性、息の長い取り組みが必要な地域づくりに対する評価が十分なされていないこと等々の課題が指摘されています。
そこで、今回の大会においては、日本福祉介護情報学会のこれまでの諸活動を踏まえつつ、今後の地域包括ケアと基盤となる地域共生社会の実現をめざして、具体的実践を担う現場の方々からの発題をいただく予定です。これらを通じて、地域で実践される多様な活動の中で、福祉情報がどのように扱われ、如何に有効活用されているのか、さらに情報共有のための具体的取り組み等を改めて学び合い、各々の地域において、特徴ある地域包括ケアを進めるために、福祉情報がどのような役割を果たすのかを共有することを目指しています。
2.テーマ
「地域包括ケアを支える福祉情報を考える」
3.主催
日本福祉介護情報学会
4.開催校
5.日時
2017年12月3日(日) 10:00~17:00
6.会場
■立教大学池袋キャンパス 11号館 2階 A203教室
7.プログラム
9:30~ 受付開始
10:00~12:00 自由研究発表
① 10:00~10:30 小川 晃子会員(岩手県立大学)
地域包括ケアにおけるICTを活用した重層的見守りの効果
-被災地におけるアクションリサーチの事例検証を通して-
② 10:30~11:00 水野 裕会員(静岡大学 情報学研究科)
介護情報マネジメントの課題と改善方式の提案
-介護保険利用者の立場より-
③ 11:00~11:30 田井 義人会員(摂南大学 経済学部)
地域共生社会におけるICT利活用抽出環境への一考察
-ビュートゾルフモデルを基に-
④ 11:30~12:00 村田 道彦会員(東北文化学園大学)
海外進出を目指す介護サービス事業所における中国でのICT活用とその対応について
-中国のネット規制に関する課題を中心に-
12:00~13:00 昼食
13:00~13:30 学会総会
13:30~14:15 基調報告 高橋紘士 日本福祉介護情報学会代表理事
「福祉介護情報学の環境変動と森本地域福祉情報論再考」
14:15~14:25 休憩
14:25~17:00 シンポジウム
【テーマ】
「現場から創る地域包括ケアと福祉情報化」
【シンポジスト】
・「地域包括ケアを支える人材育成と包括型プロジェクト
-インクルーシブ社会構築のための新たな連携と協働を考える-」
特定非営利活動法人よこはま地域福祉研究センター センター長 佐塚 玲子氏
・「地域包括ケアの諸課題と福祉情報」
社会福祉法人立川市社会福祉協議会 地域福祉推進課長 山本 繁樹氏
・「介護事業者からみた地域包括ケアと福祉情報化
-働く人々の評価を高め、そして働きの成果を拡大する事業実践-」
株式会社やさしい手 代表取締役社長 香取 幹会員
・「Medical Care Stationを活用した地域包括ケアシステムの実践
-全国の市町村に求められる「在宅医療連携」への取り組みとして-」
豊島区保健福祉部 健康担当部長 常松 洋介氏
-行政と医師会が協力して行う豊島区の取り組み-
豊島区医師会理事 土屋 淳郎氏
【コーディネーター】林 恭裕理事
【コメンテーター】 村井 祐一理事
17:30~ 懇親会(場所・夜来香 池袋店)
8.参加申し込み
【参加対象】
・本学会会員にかかわらず、関心のある方であればどなたでも参加できます。
【申込方法】
・「参加申し込み書」に必要事項を記載し、電子メールまたはファクシミリで、大会事務局(taikai2017@jissi.jp)
までお申し込みください。
※懇親会に参加される方は必ず事前の参加申し込みをお願いいたします。
9.参加費
【大会参加費ついて】
①会 員(一般) 2,000円 ②会 員(学生) 1,000円
③非会員(一般) 3,000円 ④非会員(学生) 1,500円
※法人会員は2名まで一人2,000円、3名目からは一人5,000円となります。
※当日会員申込をした場合は、暫定会員として会員と同じ参加費になります。
※参加費は大会当日、受付にてお支払ください。事前の振り込みなどは受け付けておりません。
【昼食について】
お弁当の予約はいたしません。大学周辺にはレストラン、コンビニ等があります。ただし、昼食時間が短く会員総会もあるため、できるだけ各自でお弁当などをご用意ください。
【懇親会について】
(1) 会場:夜来香 池袋店(豊島区西池袋3-29-2 三原ビル2F)
(2) 費用:一般 4,000円 学生 3,000円
(3) 参加申込:必ず事前の参加申込を行ってください。
※直前キャンセルの場合、費用負担していただく場合があります。
10.自由研究発表
自由研究発表を希望される本学会会員は、以下の要領でお申し込みください。
(1)一件の自由研究発表の報告時間は、発表20分間、質疑10分間、計30分間です。
※自由研究発表の数によって、多少変更する場合があります。
(2)資格
本学会会員に限ります(共同研究発表者も含めて会員である必要があります)。
※発表を希望される非会員の方は、11月29日(水)必着にて会員申込手続きを済ませてください。
※入会申し込み用紙を学会ホームページより入手し大会事務局までご送付ください。
(3)申込方法
希望者は、「自由研究発表申込用紙」に必要事項を記入の上、11月6日(月)までに大会事務局までお申込ください。
(4)「自由研究発表要旨」の提出
自由研究発表要旨は、別紙に所定した書式に基いて、A4版2枚以内(図表を含む)で作成し、11月20日(月)までに大会事務局まで送付してください(お送り頂いたものを、そのまま製版します)。
(5) 使用できる機材
会場ではOHC・パソコン・ビデオ(VHS)・DVDが利用可能です。パソコンのOSはWindows7(JP)/Windows8.1(JP)、プレゼンテーションソフトはMicrosoft Office Power Point Office2010/Office2013です。発表用のファイルをUSBメモリーに入れてご持参ください。念のため、ファイルは複数の媒体でご準備ください。なお、持ち込みのパソコンは接続不能の場合がありますので、ファイルを記録した媒体もご持参ください。
上記の機材をご利用の方は、自由研究発表開始の15分前(9:45)までに入室し、機材操作等の確認を行ってください。
11.宿泊
■宿泊、列車・飛行機チケット等についての斡旋は行っていません。
12.問い合わせ先
【重要】本研究大会に関する連絡はすべて大会事務局までお願い致します。
■大会事務局(兼学会事務局):立教大学コミュニティ福祉学部 飯村研究室 気付
■住所:〒352-8558 埼玉県新座市北野1-2-26
■TEL:048-471-7281
■FAX:048-471-7281
■E-mail:taikai2017@jissi.jp
※今年度は学会事務局が大会事務を行っています。
※事務局不在の場合が多いため、電話によるお問い合せには応じかねます。
13.開催要綱/参加および自由研究発表の申込用紙
■日本福祉介護情報学会 第18回研究大会 プログラム(PDF)
■日本福祉介護情報学会 第18回研究大会 プログラム(WORD)
■日本福祉介護情報学会 第18回研究大会 参加申し込み書(WORD)
■日本福祉介護情報学会 第18回研究大会 自由研究発表申込用紙(WORD)
14.大会報告
12月3日(日)立教大学池袋キャンパスで「地域包括ケアを支える福祉情報を考える」をテーマに開催した第18回研究大会には、北は北海道から南は九州まで、各地より53名の参加者がありました。
学会創設以来、中心的な役割を果たされてきた森本佳樹副代表理事兼事務局長の突然のご逝去という思いも寄らない出来事の直後の大会となりましたが、多方面からご協力・ご厚情をいただきましたことにつき、大会事務局を代表いたしまして、深くお礼申し上げます。
午前中の自由研究発表の後、高橋紘士代表理事の基調報告では、福祉介護情報学の観点から、森本地域福祉情報論のエッセンスを解題していただきました。政策論から方法論まで多岐に渡る内容を、「情報」を軸にわかりやすくご説明いただきましたが、福祉情報の持つ固有性に視座を置き、当学会が今日、そして今後、何を成すべきなのかについても、改めてご提起をいただいたように思います。
続くシンポジウムでは、地域包括ケアを支える人材育成、地域福祉を推進する専門職と地域住民の役割、民間事業者が担う個別ケアの情報化、自治体と医師会協働による情報システム構築など、幅広い実践活動が発表されました。「福祉情報」が新たな段階を迎えていることがわかる多彩な活動報告の数々でしたが、討議の時間が十分に取れず、その点については少々残念でした。今後何かの形で、発展的な議論につなげていきたいと思っております。
なお、今回大会の内容につきましては、午後のシンポジウムを中心に、学会紀要『福祉情報研究』第15号に掲載を予定しております。
年々の大会での研究発表や討議の蓄積から、さらに豊かな学会活動を生み出し、時代に応じた提案ができるよう、今後も継続的な取り組みが必要であると再認識した次第です。